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新進サックスプレイヤー
上京に賭けた思いを後押しした
ラシクラス
Profile
矢元美沙樹さん
MISAKI YAMOTO
矢元美沙樹さんは、都内でコンスタントにライブ活動を行っている新進のサックスプレイヤー(愛用の楽器はフランス製のSELMER Mark7 ビンテージ)。2015年7月にラシクラスの新築物件に入居。以来すっかり部屋が気に入り、演奏にも一層磨きがかかったと言います。矢元さんに音楽遍歴とラシクラスの暮らしについて聞きました。
:防音賃貸マンション ラシクラス 入居者インタビュー

サックスとの出会い、ジャズへの憧れ

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出身は山口県の下関です。兄と父はサッカー、母はバレーボールに熱中していたスポーツ一家です。その分、音楽は素人というか。三歳から私がクラシックピアノを習い始めて、家族の前でちょっと演奏するだけで、すごく盛り上がって喜んでくれました。
ピアノ一辺倒だったのが変わったのは、小学四年の時でした。今も続いている音楽番組、『題名のない音楽会』がきっかけです。
ある日曜の午前中、たまたまチャンネルを合わせたその番組の中で、ものすごく格好良い黒人のサックスプレイヤーを見たんです。誰だったのかはもうわからないんですけど、アタシはこれをやる! って、夢中になってしまったんです。

小学校の高学年には管楽器クラブに入ったんですけど、サックスはなくて、代わりにユーフォニウムを吹いてました。
中学に上がって、サックスもある吹奏楽部に入部して、ようやくあこがれのサックスを手に取ることができたんです。もうこれだ! って感じでした。中国大会行くぞ! 金賞をとるぞ! とか、顧問の先生も一丸になって練習に力を入れていました。
高校に入っても部活動は続けたんですけど、野球の強豪校で、吹奏楽部も甲子園の応援が主体でした。コンクールもありましたが、その時は友達と遊ぶのも楽しくなって、そこまでモチベーションも高くありませんでした。
それでも、使っていた下敷きには、〝絶対サックスプレイヤーになる〟とか書いて自分に言い聞かせたりしてました。

下関にある『BILLIE』っていうジャズクラブによく行きました。普及しはじめたYOUTUBEで、小林香織さん、矢野沙織さんのプレイを繰り返し見て、BILLIEにそんな憧れのプレイヤーが来ると、部活を休んで見に行ったりしたんです。自分の好みがジャズなんだって意識しはじめたのはこの頃です。

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二十歳の転機、東京へ

高校を卒業して、正社員として地元のホテルに就職しました。車が好きで、将来は車の整備士もいいなあなんて思っていた頃です。
音楽活動は趣味のような形で続けていました。下関で活動しているオールディーズバンドに入って、地元のライブハウスで週末や仕事終わりに演奏をしていました。オールディーズが主体でジャズじゃなかったんですけど、とにかく指示されるがままに吹いてました。
それよりもローンで買った車で、ドライブに夢中になっていました。サックスも車の中で吹いたり、海までドライブして、埠頭で思いきり吹いていました。潮風が楽器にめっちゃ悪いなんてぜんぜん気にしてませんでした。バカでしたね~。

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その頃ですけど、『ケントス』っていう、東京にもたくさん系列店のあるライブハウスが博多にもあって。バンドで何回か出させてもらっていました。
そこでレギュラーだった四十代のサックスプレイヤーの〝トリッキーさん〟っていう人がめちゃくちゃ格好良くて、もう結婚してください! って言っちゃうぐらい。ケントスにはもう一つレギュラーバンドがあって、そっちにはサックス奏者がいなかったんです。そしたら、もちろんオーディションはあるけれど、レギュラーで入らない? っていう誘いが来たんです。二十歳の時でした。 「アタシがサックスのプロに! サックスで食べていける!」
舞い上がって、仕事やそれまでのバンドも全部やめて単身福岡に行って、レギュラー契約させてください! って頭を下げに行こうと、大好きなトリッキーさんに相談に行ったら、

「福岡の小さいハコで音楽をやるのは本当のプロじゃない。まだ二十歳なんだから東京に出たほうがいい」

トリッキーさんは愛媛の人で、二十歳ぐらいでサックスをはじめたらしいんですけど、きっと自分の音楽人生に置き換えて私にそんな忠告をしてくれたんじゃないかって思うんです。
そんなトリッキーさんの言葉でコロッと心変わりして、もう私はその場で東京行きの飛行機のチケットを取っちゃいました。車のローンも残ったままでしたけど。両親はびっくりだったと思います。仕事をやめて博多で音楽活動をするっていうのも寝耳に水なのに、すぐに、博多はやめて東京に行く! ですから。ちょうど母の車が壊れたところだったんで、「お母さんよかったらこれ使う?」って、ポカーンとしたままの母に車を残して、飛行機に飛び乗りました。
三歳年上の兄が東京で働いていたので、兄の住む十三畳1LDKのマンションに転がり込んだんです。2012年の10月1日でした。

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ままならない東京の音楽活動、ラシクラスとの出会い

飲食店でアルバイトしながら、東京の音楽活動がスタートしました。でもツテもなくて、演奏する場所なんてありません。
それに、下関でやっていたような技術では、立ちいかないこともわかりました。地元ではそんなに技術がなくてもやれたんですけど、こっちだと、セッションでアドリブするにも、何を吹いたらいいか分からないんです。飛び込んでも全然相手にしてもらえません。だから、とにかく死に物狂いで練習しなくちゃいけなかったのに、東京ではサックスの練習をするのがすごく大変だって分かったんです。

兄の部屋は、防音設備もなんにもないマンションです。最初は何も考えずにそんな部屋で吹いてたりしたものだから、ご近所からの苦情がいっぱい来たそうです。
・・・お兄ちゃんには今でもすまないと思ってます。

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とにかく練習場所を探して、カラオケボックスに行くようになりました。
あのころは朝の9時から夕方5時までアルバイトをして、帰宅してから体育会系の兄の「体力をつけろ」の指令で1時間のランニング。そのあとカラオケボックスで練習して、夜中に家に帰ってくる毎日でした。
お金をかけたくなくて多摩川の川べりに行ったりしましたけど、寒いしおなかも減るし、トイレは駅まで戻らなきゃいけないしで、集中できないんです。
そうやって練習して、少しずつ腕を上げていきました。東京のプレイヤーに笑われないように・・・。

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腕をあげたら、演奏の場を見つけるために、インターネットを使ってとにかく売り込みました。
〝サックスができます!〟
いろいろなところに書き込んでいくと、少しずつ声がかかるようになったんです。
そうして、上京から半年後の2013年3月にライブに出演することができました。今でも付き合いのあるファンク&ソウルバンドの仲間と知り合ったことがきっかけです。
そうなると、自由にお金もかからないで練習できる環境がもっともっと必要だって思うようになりました。それに、いつまでも兄の世話になっているわけにもいきません。
お世話になっている先輩プレイヤーの坂田明奈さんが、防音室のある物件に住んでいると聞いて、お願いして不動産屋さんを紹介してもらいました。

その不動産屋さんがユニークで、元オペラ歌手なんです。その人が、「すごくお勧めの物件があるんですよ」って、ラシクラスを紹介してくれました。

ただ家賃が、自分の予算よりも三万円以上高かったんです。でも見るだけ見て、と言われて連れていってもらいました。 たしかにめっちゃいい物件でした。そしたら不動産屋さんが、自分が今からこの部屋で歌うんで、隣の部屋で音が漏れるかどうか聞いてみてって言うんです。

不動産屋さんがオペラのフルボリュームで歌ってる途中で、隣の部屋に移動してみたら、ぜんぜん音が漏れてこないんです! オペラの生声はサックスの音よりずっと大きいから、すごい! って思って。それに、紹介された部屋は、白ベースに、ピンクと緑に色分けされていて、カラフル好きな私の好みにぴったりだったんです。もっとシックな部屋があるっていうのも後で知りましたけど、よくこんなに自分好みの部屋が残っていたなって。
紹介される前は、絶対無理! って思ったんですけど、見てしまったら、頑張ってみようって。初期費用は、それまで居候しながら貯めたお金があって、それも思い切る材料になったと思います。入居は2015年の7月11日でした。

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大好きな部屋で、希望がどんどん見えてきた

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はじめての一人暮らしで、いろんな手続きが必要だってそこで知ったんです。不動産屋さんは説明してくれてたんですけど舞い上がってしまっていて。身体一つで来たら、当然なんですけど、水道も電気もガスも通ってなくて。それで「兄ちゃんごめん、もうちょっと住まわせてくれる?」って手続きの間、三日ぐらい兄の部屋に世話になっていました。

部屋に入って、最初にサックスを吹いた時にはめっちゃ感激しました。

カラオケボックスで練習していた時より何千倍もいい音で、スタジオで出しているような音に近いんです。あの時のことは今でもほんとによく覚えています。

最初のころは、4時ごろ起きて朝から三つのアルバイトを終電まで掛け持ちして、ライブが近いときは帰って3時ごろまで練習。睡眠時間も無い日が一年ぐらい続きました。
そうしているうちに、少しずつお声がかかるようになって、音楽仲間も増えて、演奏の仕事も増えていったんです。
今では、セッション練習やリハーサルも、六畳のこの部屋でやったりしています。防音室と生活の場が同じなので、ベッドがあったり洗濯物が干してあったりする中で、メンバー四人練習するのは不思議な感じですけど、音の環境はみんな満足しています。
最近は、この部屋で一対一のサックスの個人レッスンもしています。
今年の7月には地元でライブもやりました。両親や友達が来てくれて、泣いてくれた人もいたんです。素人同然で勢いで飛び出してから4年経って、地元にもやっと認めてもらえたかなって。

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この部屋に住む前、先輩ミュージシャンが、
「いい部屋に住むと、仕事も増えるよ」
と言っているのを聞いていて、最初はそんなこと信じられなくて。今は、もしかしてそういうことって本当にあるのかもしれないなって思っています。 たしかに、普通の部屋より値段が張るかもしれませんけど、ライブが終わって、とにかく早くうちに帰りたくなるんです。

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Bluetoothのスピーカーが部屋に標準装備(CLASHDサウンドシステム)されているのも嬉しいです。帰ると、尊敬するソニー・ロリンズやデクスター・ゴードンとかジョン・コルトレーンの演奏を流すんです。誰にも気兼ねなく自分だけの音楽が楽しめるのも最高です。
キッチンもめっちゃいいですね。洗面所もトイレもおしゃれだし、新築だし、駅から近いし、ベランダもあるので、余裕ができたら、実家にもあったアロエなんてあったらいいなとか思ってます。今は世話できませんけど。

安いけど、好みじゃなかったりとか、綺麗じゃなかったりする部屋だったら、うちに帰ってもつくろげないかもしれないし・・・。すごく無理をしたかもしれないけれど、今は、それも無理じゃなかったかなと思ってます。
今の部屋は1Kの六畳ですけど、余裕ができたら、自分の音楽空間をもっと充実させたいと思っています。生活の場所と音楽の場所は分けたほうがいいって先輩方は言いますけど、

今の自分は、寝て起きて、パジャマでもすぐ吹けるようなこの環境が気に入ってます。

私も、部屋を探している仲間がいたら、今は「いい部屋に住むと、生活も充実するし、仕事も増えるよ」って言ってあげたいです。 まだまだ未熟ですが、素敵なミュージシャンになるため、この部屋で24時間自分磨きを頑張ります!

インタビュー・テキスト:大和田悟史 撮影:高橋 将和、古田 智紀

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